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はじめに
近年、「文理融合学部」という言葉を耳にする機会が増えています。
AI・データサイエンス・情報社会の発展などにより、大学でも「文系」「理系」といった従来の枠組みを超えた学びが注目されるようになってきました。
その中で、今受験生や保護者から大きな注目を集めているのが、文系・理系の枠を横断して学ぶ「文理融合学部」です。
一方で、
「結局なにを学ぶの?」
「就職は大丈夫?」
「普通の学部との違いは?」
と疑問を持つ人も多いかと思います。
この記事では、実際に文理融合学部のひとつである京都大学 総合人間学部を卒業した著者が、文理融合学部の特徴や向いている人、卒業後の進路、後悔しない選び方までわかりやすく解説します。
文理融合学部とは
文理融合学部とは、その名の通り、
文系分野
理系分野
を横断して学ぶ学部のことです。
高校での文系/理系の専攻はどちらからでも受験できることも特徴の一つです。
従来の枠組みでは、大学の学部は
文系:文学部・経済学部
理系:工学部・理学部
のように、文理と専門分野が明確に分かれていることが一般的でした。
しかし近年は、
AIと倫理・法律
情報とデザイン
医療と社会学
など、複数分野を組み合わせて考える重要性が高まっています。
そのため、「ひとつの専門だけではなく、複数分野を横断して学ぶ」学部が増えているのです。
文理融合学部といっても、その形はさまざまです。
例えば、
心理学や人間科学のように、昔から文理横断的だった分野
大阪大学 人間科学部、早稲田大学 心理学部、同志社大学 心理学部 など
情報×デザインのような新しい学際分野
立命館大学 映像学部、明治大学 情報コミュニケーション学部、早稲田大学など
教養・総合系のように、幅広い分野を自由に学ぶタイプ
東京大学 教養学部、京都大学 総合人間学部、慶応大学 総合政策学部など
などがあります。この記事では、近年特に注目を集めている、幅広い分野を自由に学ぶ3つ目のタイプに着目して解説していきます。
文理融合学部に向いている人
上記の通り、文理融合学部といってもさまざまで大学によっても異なりますが、多くの文理融合学部を通して向いている人の特徴を紹介します。
好奇心旺盛な人
複数分野を横断して学ぶことに楽しさを感じる人や、さまざまなことに好奇心を持つタイプの人は、既存の枠組みにとらわれず、新しい視点で学問にはげむことができ、とてものびのびと楽しく過ごすことができるでしょう。
また、例えば「物理学」と「心理学」のように、一見関係なさそうな学問どうしを同時に学び、それらの共通点を探る等といった分野横断型の思考をおこなえることも醍醐味のひとつです。
文系も理系も好きな人
数学的な考え方も好きだが、社会問題やデザインにも興味がある等、文系・理系どちらの考え方も好きな人には絶好の学部です。
自分でテーマを作るのが好きな人
文理融合学部では、その自由さゆえに自分でテーマを作り、思い通り実行にうつしやすい環境にあります。
そのため、「決められたことをしっかりおこなう」というより「自分で何をするか決めて動くことが好き」という人には素晴らしい環境です。
当てはまる人以外は注意が必要
一方で、
あらかじめ専門分野が明確に決まっている環境の方が安心できる人
カリキュラムがしっかり定まっている方が学びやすい人
「まずは専門性をしっかり身につけたい」と考えている人
の場合は、一般的な専門学部の方が合っているケースもあります。
文理融合学部の最大の特徴である「自由度の高い学び方」が、自分に合っているかどうか、しっかりと考えることが大切です。
文理融合学部の卒業後の進路・就職は?
文系就職は比較的おこないやすい
文系寄りの専攻に進むと、営業・企画・マーケティングなど、通常の文系学部と同じように就職活動をおこなうことが一般的です。ただ、学部名だけで判断しづらかったり、珍しいかったりする分、「学部では何をしていたか?」「なぜその学部を選んだのか?」と問われる機会が必然的に多くなります。そのため、しっかりと言語化できるようにしておく必要があります。
理系就職では特に「本人による専門性の形成」が重要に
文理融合学部という枠組みそのものは、まだ一般社会や就職市場に十分浸透し切っていない部分もあります。
そのため、「専門性が曖昧」「理系としては専門性が弱い」と見なされてしまうことも少なくありません。
ただし、ここで注意したいのは、「文理融合学部=理系専門性が弱い」というわけではない、ということです。
実際には、研究室や専攻によっては、
数学
統計
プログラミング
実験科学
データ分析
などを本格的に扱う、正真正銘の理系の研究をおこなっているケースも多く存在します。
そのため、自分から積極的に、
理系の基礎講義をしっかり履修する
必要に応じて他学部の講義を聴講する
自主ゼミや研究活動をおこなう
など、ビジョンを持ちながら専門性を形成していく姿勢が重要になります。
学生起業・職人等の道へ進む人も
その自由さと主体性ゆえに、学生時代に起業する人・伝統工芸の職人を志す人・アーティストになる人など、通常の就職市場に進まない人が他の学部に比べて少なからずいることも、特徴のひとつです。
文理融合学部以外の選択肢
これまで話してきたように、文理融合学部は自由さと引き換えにリスクも存在しています。主体性を失うと、ただ過ごしていたら何もせず4年間が終わっていた、というケースも少なくありません。
そのため、リスクを避けて文理融合学部以外を選ぶということも一つの有効な選択です。
実は、文系・理系をまたいだ学問ができる学部は文理融合学部以外にも存在しています。
ここでは、文系・理系別に紹介します。
文系
経済学部
経済学部は、文系学部の中ではずば抜けて数学を多く扱う学部です。
そのため、文系だが数学は好き、というような人にはとてもおすすめの学部です。
特に、ミクロ経済学では、数理モデルなど高度な計算を伴うことが多いです。
心理学部・文学部の心理学系
大学によっては、心理学が文学部に含まれていることが多々あります。
その中でも、実験、統計、データ分析を重視する分野では、かなり理系的な研究手法を使う場合があります。
文献調査よりも、実験をおこないたい、という人にはおすすめです。一方、文系学部でありながら、理系研究室のように研究が多忙になり、就職活動が思うようにできないようになるケースも少なくないため、注意が必要です。
理系
農学部
農学部では、バイオテクノロジーや分子生物学などがメインとなることが多い一方、環境政策・経済学など、文系的な視点も重要になる分野があります。
理系でも、社会課題に関心がある場合におすすめです。
建築学
建築学では、構造や力学といった理系要素も強い一方で、
デザイン・景観・都市開発・空白設計といった、感性や表現力も重要になります。
情報工学・情報系
冒頭でも登場しましたが、近年では
データサイエンス・AI × デザイン・メディア論・社会学・法学
など、理系の情報系学問と文系分野を融合させた学部が増加しています。
プログラミング等、情報系の実践的なスキルを磨ける学部も多く存在しています。
さいごに
これまで、文理融合学部について詳しく見てきました。
特に、合う人には最高の環境である一方、自由さゆえのリスクも存在していることも確かです。
最後に紹介したような学部・学科以外にも、既存の枠組みに組み込まれた学部でも、実は文系的な考え方・理系的な考え方の両方を使う学問はたくさんあるため、進路選択では文理融合学部にとらわれず、視野を広げてみることも大切です。
どの学部を選ぶにしても、「大学で何を学ぶか」という軸を見失わず、自分の情熱や知的好奇心の赴くものを、しっかりと考えて選ぶことが大切です。
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執筆者

株式会社okkeマーケティング担当。京都大学総合人間学部/人間・環境学研究科卒。
大手家電メーカーにて新規商材・ECサイト運営を担当後、若い世代の学びと成長に長期的に関われる点に惹かれokkeに入社。
好きな動物は猫とニホンザル。
