作成日:
2026/01/19
更新日:
2026/01/19
はじめに
新課程となり2年目の2026年度の共通テストが、2026/1/17(土)・1/18(日)に実施されました。
この記事では、共通テスト2026の「生物」・「生物基礎」の実際の出題を踏まえ、昨年と比較した問題の傾向や、その傾向を踏まえた今後求められる対策法についてご紹介します。
共通テスト2026の生物・生物基礎の概要を知りたい方や、共通テストの対策法になかなか自信を持てない方に対して、参考になれば幸いです。
生物基礎
第1問
例年通り、細胞や遺伝子分野からの出題です。
A
昨年度は、バイオテクノロジー寄りで、初見での思考力が問われる問題が多く出題されていましたが、今年度は王道の細胞小器官の知識を問う問題となりました。
問1 易 基本的な知識を抑えていれば正解できる問題です。
問2(1) 中 早速実験考察問題が出てきて怯みますが、問われていること自体は植物における光合成と呼吸の基本的な知識です。難しく考えすぎず、落ち着いて「白色個体→光合成ができない→明条件であっても有機物が分解される」というロジックを組み立てることができれば、正解できます。
(2)中~難 こちらも実験考察問題で、「根を介して菌類から有機物を得る」という考え方が初見だと難しく感じたかもしれません。しかし、(1)と同じ考え方を延長すれば実はシンプルです。「緑色個体なら光合成して作った有機物を使用するが、白色固体は光合成が無理だから菌類由来の炭素依存度が高い」ということをロジックを現場で組み立てることができれば、正解可能です。
B
こちらも頻出の遺伝子の問題です。昨年度は実験考察問題が中心で難解でしたが、今年は比較的単純な計算問題でした。
問3 易 遺伝子の基本的な知識です。
問4 中~難 標識されたヌクレオチドを用いた、DNA複製の挙動を問う計算問題です。DNAは、もとの一本鎖を鋳型として新しい鎖を合成する『半保存的複製』を行うため、1回複製すると全てのDNA分子が標識ヌクレオチドを持つことになります。一方で、鋳型となった一本鎖は標識ヌクレオチドを持たないままです。実際の本数は、頭の中で考えるのではなく図に書いて整理する習慣をつけましょう。
第2問
内部環境の恒常性と、免疫の問題です。
A
昨年度(心拍・呼吸数に関する問)に続き、自律神経系の調整出題でした。
問1 難 中脳や延髄から出ているのは副交感神経で、交感神経は脊髄の中部から出ています。その他の選択肢が平易だったため消去法で正解することは可能ですが、この知識自体は盲点を突いてきたといえます。
問2 易 間脳の視床下部からが内分泌系の中枢であることと、腎臓での水の再吸収の概念を知っていれば解ける基本的な問題です。
問3 中 正解の選択肢は、グラフを見たままの内容だったため、正解として選択することは易しいと言えます。しかし、グラフの形が単調でなかったり、ほかの選択肢も惑わすようなことが書かれてあったりと、難しく考えてしまうと思わずほかの選択肢を選びたくなるような問題でした。とにかく落ち着いて解くことが大切です。
B
新型コロナウイルスワクチンが、初めて共通テスト生物基礎に登場しました。今年度は坂口志文教授のノーベル賞受賞があったため、当サイトでの免疫の出題予想が的中しました。
問4 中 単純な知識問題ですが、免疫における登場人物とその役割をしっかり頭に入っていないと正解できない問題でした。
問5 中 問4と同じく、免疫に関する正確な知識が必要な問題でした。
問6 易 「新型コロナウイルスワクチン」という過去問でも見慣れないような題材ですが、問われていることはグラフをそのまま読むだけの、易しいグラフの読み取り問題でした。ここでも、落ち着いて読むことが大切です。
第3問
こちらも昨年から続いて森林と外来種の問題です。
A
問1 易 植生に関する基本知識を問う問題です。
問2 中 問題文も実験も長く、とっつきにくい問題ですが、問われていること自体はシンプルです。実際、図2の読み取りができれば正解できる問題でした。問題文が長く取り掛かるハードルが高い場合は、問題選択肢から読むのもひとつの方法です。
問3 易 「森林限界:それ以上標高が上がると、寒すぎて森林が形成されないライン」であることを理解できていれば、迷わず正確できる問題です。
B
問4 易 特別な知識は必要とせず、生物の絶滅に関して常識的に考えることができれば答えられる問題です。
問5 中~難 実験考察問題です。正解を導くためには、実験の目的と何のための仮説検証なのかを問題文から理解する必要がありますが、事前知識はそこまで問われていないため、落ち着いてしっかり考えれば正解可能な問題でした。
2026年度共通テスト生物基礎のまとめ
今年度の出題を振り返ると、全体的な難易度は「やや易化」でしたが、得点差が開くポイントが明確なセットでした。今後、共通テストや二次試験に臨む方は、以下の3点を意識した学習が重要です。
未知の題材を恐れず、基礎知識を適応する
菌由来の有機物に依存する白色個体や新型コロナウイルスなど、一見難しそうなテーマでも、問われているのは「光合成」「免疫の仕組み」といった教科書の基本です。「知らない言葉=解けない」ではなく、「知っている知識のどれを使えばいいか」を考える訓練を積みましょう。グラフや実験文の「情報の取捨選択」を速める
問題文や実験が長文化する傾向にあります。「選択肢を先に見てから必要なデータを図から探す」といった、実戦的な解法テクニックを身につけることが時間短縮の鍵です。盲点になりやすい「教科書の隅」を確認する
自律神経の起始部(中脳・延髄・脊髄)のような、図説や注釈に載っている知識を問われることがあります。単なる用語の暗記ではなく、図とセットで構造を理解する学習を心がけてください。
生物
第1問
ヒトの進化の問題です。これまで、ヒトの進化がメインの題材として取り上げられることは少なかったものの、ゲノム解析の進展(特に今回のネアンデルタール人と現生人類の混血など)は近年ホットなテーマであり、トレンドに乗った出題といえます。
問1 易 ホモ・サピエンスの基本知識を問う問題です。答えの②は、少し難しい知識ではありますが、それ以上の選択肢は平易な知識の範囲内にて除外することが可能です。
問2(1)易~中 「小さい集団であれば、遺伝的浮動の影響が大きいため、早い世代にて遺伝子頻度が1または0に振れる」ことをグラフと合わせて考えさせる問題です。
(2)中 ハーディ・ワインベルの法則の基本問題です。公式を使いこなせるかどうかにかかっています。
問3 中~難 こちらも、PCR法の問題演習を積んだかどうかが問われる問題です。問題文は長いですが、PCR法の考え方と実験内容を理解できれば正解可能な問題です。
問4 難 連載と組み換えの計算問題です。表2のデータから、「どの組み合わせが壊れにくいか(=距離が近いか)」を読み解く必要があります。この手の演習問題をどれだけ積んでいたかで差がついた問題です。
第2問
ATPを使った細胞内輸送や細胞の運動に関する問題です。微小管やモータータンパク質等と合わせて出題されることは多いため、来年度以降も対策が必要な分野です。
問1 中~難 単純な知識問題ですが、筋収縮の仕組みを漏れなく正確に頭に入れておく必要のある問題です。
問2 中~難 題材は難解でイメージしにくいものの、条件を一つずつ確認し、落ち着いて整理すると正解を導くことができる問題です。
問3(1) 難 こちらも難解な題材ですが、落ち着いて整理すると正解を導くことができます。適当なものを過不足なく含む選択肢を選ぶ形式の問題は、どうしても複数個入ったものを選んでしまいがちです。特に、意識して正しいものを見極めることが大切です。
(2) 中 ここまでの実験の流れを理解できていれば、難なく正解を選ぶことができます。
第3問
ショウジョウバエの発生
「遺伝子B…ビコイド、タンパク質C…コーダル」であることを知っていれば、とっつきやすかったかもしれません。しかし、実験量も条件も多い中での考察問題が中心で出題されており、かなり難易度の高い大問でした。
問1 難 BmRNAは母親遺伝子型になることに気づくことができるかどうかを問う問題です。母性効果因子であることは直接明記はされておらず、問題文中から読み取る必要があり、メンデルの法則を適応してしまった受験生が多いと推測されます。
問2(1) 中~難 「翻訳阻害」の概念を正確に理解できるか問う問題です。
(2)難 実験1の結果から、タンパク質のもととなるアミノ酸をその遺伝子がコードしているかを問う問題です。この手の問題演習を積んでいたかどうかが勝負の分かれ目になります。
(3)中 「翻訳を阻害しない仕組み」という逆説的な問いです。「阻害」の代わりに「分解の促進」が起これば同様の結果が得られる、という柔軟な発想が求められます。
問3 最難 ここで新たに登場したタンパク質Hと遺伝子Kの関係を読み解く、本大問(試験)最大の山場です。図5の変異体Ⅰ〜Ⅲのグラフを比較し、「タンパク質Hの濃度が一定の閾値を超えたときだけKmRNAが産生される」という法則性を見出せるかが鍵となります。 特に変異体Ⅳの予測は、グラフの縦軸(濃度)と胚の位置関係を多角的に分析する必要があり、非常にレベルの高い考察問題です。
第4問
生物の環境応答に関する問題です。動物の環境応答や植物ホルモンに関するテーマは長年良く出題されているため、今後も対策が必要です。
問1 中 標準的な知識問題ですが、遠赤外線が逆効果であることをしっかり理解していないと間違ってしまうひっかけ問題です。正確な知識が必須となっています。
問2(1) 難 (1)にもかかわらず実験1,2両方の考察が必要な問題です。初見では直観に反すると感じる場合もある問題のため、「オーキシンが細胞どうしの結びつきを弱める」「繊維の方向と逆側に太くなる」ということを知っているかどうかで正誤がほぼ決まったと言ってよい問題でしょう。
(2)易 落ち着いて実験条件と選択肢を整理できれば解ける素直な問題でした。
問3(1)易 実験考察問題ですが、シーンのイメージもしやすく、素直な問題でした。
(2)中 こちらも図を正しく読み取ることができれば、難なく正解できる問題です。ただし、近いときは聴細胞A2だけでなくA1,A2の両方が興奮するという点に引っかからないように注意しましょう。
第5問
比較的よく出題される、生態系のテーマですが、マングローブや皮目といった見慣れないテーマが選ばれました。受験生に馴染みのないテーマをあえて提示することで、その場でいかに生物学的考え方をできるか問うている問題といえます。
問1 易 基本的な知識問題です。正解以外の選択肢も、一見正しいことが書かれているようですが間違っている箇所があるため、焦って引っかからないことが大切です。
問2 易 落ち着いて表から情報を読み取れば正解を選ぶことができる素直な問題です。
問3 中 実験結果から、実際にどんなことが起きているかの推測が必要となる問題です。皮目の働きが初見である場合は自信を持った解答は難しかったかもしれません。知識だけでなく、「通常、生物の考え方を前提として、起こりうること」と照らし合わせて解答する必要があります。
問4(1) 中 実験説明が長文で怯みますが、問題自体は難しくないです。「窒素同化」の概念が頭に入っていて、実験結果のグラフを正しく読み取ることができれば、正解を導くことができます。
(2) 難 正解の選択肢自体は、実験3の結果を読み取れば正解できる易しい選択肢であったものの、それ以外の選択肢(特に①②)を除外するのが難しかったと思われます。②の比の計算に時間をとられてしまうととてももったいないため、今回においては自信を持って④と答え、②の計算はおこなわないことで、時間配分に差がついた可能性があります。
2026年度共通テスト生物のまとめ
昨年も思考力を問う出題が中心でしたが、本年度はさらに「情報の読み取り量」と「条件の複雑さ」が増加しました。特に第3問にて、教科書における発生時のタンパク質濃度の考え方をしっかりと頭に入れたうえで、複数の図表を矛盾なく統合するプロセスが昨年以上に精緻になっていたことが目立ちます。一方、落ち着いてデータを見れば解ける問題も散見され、全体体的な難易度は「例年通り」といえます。
「知識の活用」から「現場思考」への完全シフト
知識だけを問う問題はほとんど登場せず、アクチン・ミオシンや植物ホルモンといった定番テーマであっても、初見の実験データと組み合わせた出題が主流となっています。教科書的な基本原理を「理解していること」を前提とし、その場で提示された特殊な条件下での振る舞いを論理的に推論する力が、得点差を分ける最大の要因となっています。
特徴的な出題傾向と新機軸
本年度は第1問で「ヒトの進化」が大きく扱われたほか、第5問のマングローブなど、特定の生態系を掘り下げる出題が目立ちました。これらは「未知の題材であっても、既知の生物学的原理(DNAの連鎖、環境適応など)を当てはめれば解ける」というメッセージであり、「初見の課題に対する適応力」がより重視されるようになっています。
受験生に求められる戦略
とはいえ、演習問題を積んでいればすらすら解けるような、定番の計算問題も複数出題されています(第一問のハーディ・ワインベルグの法則や、PCR法結果の推測など)。教科書の知識を頭に入れることに加え、頻出の計算問題を自分の中でパターン化し、同様の問題が出題されたときに自然と解法が出てくるよう、頭の中での引き出しの形成にも時間をかけることが必要です。
二次試験対策もDr.okke!最短ルートで合格へ
共通テストが終わると、いよいよ二次試験に向けた戦いがスタートです。
試験までの期間は限られているものの、1ヶ月以上の長期戦となります。
特に共通テストの配点が高い大学を目指している受験生は、一度燃え尽きてしまいがち。
しかし、ここからの「質の高い演習量」が合否を分けるのは言うまでもありません。
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即導入:最短当日から利用を開始できるため、二次試験対策に今からでも十分間に合います。
共通テストが終わった直後の今こそ、次のステージへ差をつけませんか?
執筆者

株式会社okkeマーケティング担当。京都大学総合人間学部/人間・環境学研究科卒。
大手家電メーカーにて新規商材・ECサイト運営を担当後、若い世代の学びと成長に長期的に関われる点に惹かれokkeに入社。
好きな動物は猫とニホンザル。
