Dr.okkeの利用データにおいて、制限時間の有無を両方経験した生徒の約100万件の解答ログを分析した結果、制限時間を設定した場合に、設定しなかった場合と比較して正答率が高くなることを確認しました。これは、同一生徒内での比較において認められた差であり、制限時間の設定による、適度な緊張感がもたらす効果の可能性が示唆されます。
1. 調査の背景
テスト演習ツールDr.okkeでは、テスト作成時に制限時間の有無を選択することができます。制限時間を設定した場合、生徒は緊張感を持ってテストに取り組む一方、十分に考える時間を確保することはできません。そこで、テスト演習の効果を最大化する上で制限時間を設けるべきか否かを実データに基づいて検証いたしました。
なお、本調査では対象科目を「英単語・英熟語」に限定しています。これは、単語・熟語の暗記問題が特定の知識を瞬時に想起する形式であり、思考プロセスの複雑さや難易度のばらつきが少ないため、制限時間そのものが正答率に与える影響を捉えやすいと考えたためです。また、他科目と比較してデータ量が豊富であり、多様な制限時間設定のもとで十分なサンプル数を確保できる点も選定理由のひとつです。
2. 主な発見
発見: 制限時間を設定した場合の方が正答率が高い
制限時間あり・なしの両方を経験した同一生徒422名を対象に、生徒ごとの正答率を算出したうえで平均値を比較しました。
区分 | 解答数 | 正答率 | 無解答率 | 解答分のみの正答率 |
制限時間なし | 551,590 | 74.2% | 2.4% | 76.0% |
制限時間あり | 416,995 | 75.7% | 2.5% | 77.5% |
差分 | - | +1.5pt | 同水準 | +1.5pt |
※正答率は、生徒ごとの正答率を算出したうえで、生徒単位の平均値として算出しています。
制限時間を設定すると、時間的制約により思考が妨げられ正答率が低下することが想定されましたが、結果は逆となりました。時間切れによる無解答率のわずかな上昇は見られたものの、無解答を除いた解答済み問題のみの正答率も上昇しており、単に解答困難な問題を回避しているのではなく、解答の精度そのものが向上していることが示されています。
なお、本結果は統計的検定によっても裏付けられており、偶然の変動ではなく有意な差であることが確認されています(対応のあるt検定:p=0.023、ウィルコクソンの符号順位検定:p=0.009)。
考察
適度な緊張感やプレッシャーが集中力を高め、解答精度の向上につながっている可能性が考えられます。特に単語・熟語のように瞬時の想起を要する問題においては、一定の時間的制約の中で取り組むことが、良い影響を及ぼすと推測されます。
3. 調査概要
対象: 自社学習ドリル「英単語・英熟語」カテゴリの解答ログのうち、制限時間あり・なしの両方を経験した同一生徒422名分
期間: 2023年5月〜2026年8月
サンプル数: 約97万件(解答単位)
分析手法: 同一生徒における制限時間あり・なしそれぞれの正答率・無解答率を算出し、対応のあるt検定およびウィルコクソンの符号順位検定により有意差を検証
4. 結論と今後
今回の分析では、英単語・英熟語の問題において、制限時間を設定した場合のほうが正答率が高い傾向が確認されました。適度な時間的制約が集中力を高め、解答精度の向上につながる可能性が示唆されます。Dr.okkeでは今後も、蓄積された学習データの分析を通じて、より効果的なテスト演習のあり方を検証していきます。

株式会社okkeマーケティング担当。京都大学総合人間学部/人間・環境学研究科卒。
大手家電メーカーにて新規商材・ECサイト運営を担当後、若い世代の学びと成長に長期的に関われる点に惹かれokkeに入社。
好きな動物は猫とニホンザル。
